諸行無常
前の職場でお世話になった方の昇進祝いがあり、久々に当時のメンバーを交えて飲む機会があった。
コロナ禍の状況、しかも当日の感染者が約2ヶ月ぶりに100人を超えたという不名誉な日とはなったが、そんな中7人が集まって卓を囲めたというのは個人的には素晴らしいことだと思う。
今日の主役は、昇進して東京に戻ってきた方のはずだった。しかし、私個人的には別の参加者の一人がこの7月末で会社を退職し、外資の保険会社に転職するという話があったおかげで、その人の方が主役にとって変わってしまったような気がした。
7月は私の働く会社では昇進のタイミングとなっている。
この時期、社員名簿を見るたびに、かつて一緒に働いた先輩、もしくは後輩が昇進したことを知らされる。
一年に一回のお祭りだ。
私には今まで縁のないことだったが、
かつて一緒の立場で働いていた人たちがどんどん昇進していくケースが増え、その人のお祝い会に参加したりしていると、どうも他人事では済まなくなってくる。
ただし、私は素直にお祝いをするようにしている。
他人の昇進を妬んでも何も生まれないからだ。
その人は評価され、私は評価されなかっただけの話。
その結果は残酷だが、事実として受け止めなければならない、と思っている。
話を戻すと、今日の個人的主役は、
私の2つ上の先輩である。
一緒に働いた期間は2年くらいだろうか。
最初は私と同じ平社員だった。
かなり独特な感性の持主で、
一見とっつきにくく、変わった人だなあという印象だったが、
一緒に働くにつれ、非常に義理堅く、実直なお人柄が見え隠れするようになり、
表には出さないが密かに尊敬する先輩でもあった。
その先輩はトントンと昇進し、今は営業部隊をまとめる若手課長として活躍。
成績が悪かった営業所を立て直し、更なる高みが展望出来るような絶好の環境。
仕事に対してストイックだったので、てっきり定年まで仕事に傾注し、会社員人生を全うするものだとばかり思っていた。
そんな先輩が半年も前から転職活動をし、
外資系保険会社へ行くという。
待遇は今の私の給料の約3倍。
管理者としての登用で、約3年間は給料が保証されるとのこと。
思い切ったな、と思った。
順調に見えるその課長も、
自分の人生を真剣に悩み、
このタイミングで転職を選んだ。
家族も、小さい一人息子もいる。
家のローンもあるかも知れない。
今の会社にいればまず解雇はなく、
余程のことがない限り降格もない。
そんな中、今の会社の将来を案じ、
「生涯現役の営業マンでありたい」と
ほぼ完全歩合制の外資系保険会社へ。
きっと見えない所で自分の武器を揃え、
磨き抜いていたということだろう。
それが今の私に出来ているか?
日々の仕事に忙殺されるだけでいいのか?
自分のキャリアについて本当に真剣に考えているのか?
考えさせられる出来事だった。